『退役魔法騎士は辺境で宿屋を営業中』|宿屋に通うアルヴィンが、どうにも不器用
主人公のリーディアは、王宮魔法騎士を退役して辺境へやってきた女性。
今は宿屋「楡の木荘」の女主人として、料理をしたり、畑仕事をしたり、宿を切り盛りしたりしながら暮らしている。
そこへやってくるのが、黒髪で大柄な騎士アルヴィン。
この二人、進み方がゆっくりでいいんですよね。
先にあるのは、リーディアの暮らし
漫画版の序盤でまず見えるのは、リーディアの今の生活です。
料理をする。
動物の世話をする。
宿泊客を迎える。
魔法騎士だった過去を持ちながら、今は宿屋の女主人として自分の暮らしを作っている。
そこへアルヴィンが通うようになる。
日常が先にあって、その中へアルヴィンが少しずつ入ってくる。
この順番が好きです。
アルヴィン、思ったより不器用
アルヴィンは体格もよく、落ち着いて見える。
ところがリーディア相手になると、急にぎこちなくなる。
もう少し距離を縮めたいのは分かる。
なのに、なかなか呼び方を変えられない。
「女主人」のまま、あと一歩が出ない。
その一方で、リーディアが独身かどうかは気になる。
そこは聞くんだ、となる。
大人っぽく見える人が、恋愛では妙に不器用。
この感じがかわいいんですよね。
アピールしたい気持ちはある。でも、うまくはいかない
アルヴィンは宿に来る。
話をする。
リーディアのことを知ろうとする。
やっていることを見ると、気持ちはけっこう分かりやすい。
ただ、気の利いた言葉で一気に距離を詰めるタイプでもない。
少し探って、少し踏み込んで、また様子を見る。
名前で呼ぶことひとつでも、アルヴィンにはけっこうな前進に見える。
そのくらいの速度がちょうどいい。
一方のリーディアは、アルヴィンが来ても自分の生活をちゃんと続けている。
宿の仕事をして、客として接して、少しずつ相手を知っていく。
だから読んでいる側は、どうしてもアルヴィンの方を応援したくなる。
アルヴィン、頑張れ。
料理を作る。人が泊まる。動物がいる。仕事がある。
その同じ日常の中で、アルヴィンがまた来る。
前より少し話す。
前より少し相手が分かる。
今は、この不器用な二人がどこまで近づくのかを見ていたいです。