『魔女と傭兵』|新大陸で出会う人たちがいい
凄腕の傭兵ジグと、「沈黙の魔女」シアーシャ。
討伐する側とされる側だった二人が、今度は護衛する側とされる側になり、未知の大陸へ渡る。
そこで冒険者として暮らしながら、新大陸の人間や組織、魔獣と関わっていく。
この作品で好きなのは、新大陸にちゃんと「もともとの生活」があるところです。
ジグとシアーシャが来る前から人は暮らしているし、それぞれの事情で動いている。
その中でも、私はイサナとエルシアがかなり好きです。
※以下、コミカライズで描かれている二人の登場範囲に触れます。
イサナは、自分の立場を持っている
イサナは高位の冒険者で、前線に立つ剣士。
個人で強いだけでなく、異種族の仲間たちが集まるコミュニティの中でも役割を持っている。
自分の仲間がいて、自分の立場がある。
そのうえで本人も強い。
こういうキャラに弱いです。
強気で、腕も立つ。
でも表情は豊かで、ジグとのやり取りにはかわいさもある。
強さ一色で固めていないところがいい。
ジグとイサナの間には、まだ先がありそうに見える
イサナとジグは、最初から仲良しという関係ではありません。
実力をぶつけて、相手を知って、そこから距離が変わっていく。
戦った。
認めた。
一緒に動いた。
その積み重ねがあるから、「この二人、もっと一緒にいたらどうなるんだろう」と考えたくなる。
関係が決まり切っていない、この途中の感じが好きなんですよね。
エルシアは、エルシアの事情で動いている
エルシアも高位の冒険者で、術を使って戦う女性です。
前線に立てる強さがあるし、周囲や状況もよく見ている。
仲間への情もある。
一方で、自分の目的もきちんと持っている。
その場の空気だけで動く人ではないので、「この人ならこうするだろうな」と思える。
過去や仲間との関係まで見えると、ジグたちと出会う前から人生が続いていた人なんだと感じます。
主人公が来る前から、世界が動いている
イサナとエルシアは、どちらも強い女性です。
でも雰囲気も、戦い方も、立場も違う。
二人とも自分の都合、自分の事情で動いて、その結果としてジグたちと交わる。
この作りが好きです。
新大陸には冒険者がいて、組織があって、人間関係がある。
そこへジグとシアーシャが入っていく。
だから新しいキャラが出てくるたびに、「この人はここで何をしてきたんだろう」と気になる。
イサナもエルシアも、もっと見たい。
ジグとまた戦ったらどうなる。
一緒に動いたらどうなる。
もっと仲良くなったらどうなる。
そういう想像を残してくれるところまで含めて、『魔女と傭兵』を読むのが楽しいです。