『非視界戦闘 アイアンレッキ』|コータロウに火がつく瞬間がたまらない
『非視界戦闘 アイアンレッキ』で一気に引き込まれたのが、9話から11話あたりでした。
主人公のコータロウは救急隊員。救急車をとんでもない技術で走らせる男です。
その走りを最初に見出したのが応仁さん。作中では「オニさん」と呼ばれています。さらにTGR(TOYOTA GAZOO Racing)のハンナさんも、コータロウに興味を持って同行する。
この2人が別々の角度からコータロウを見ているのが、まず面白い。
※ここから9〜11話付近の内容に触れます。
ハンナさんとオニさんでは、期待しているものが違う
ハンナさんはレーサーの原石と、人を惹きつける「ヒーロー」を探している。
一方のオニさんは、自分が救急搬送されたときにコータロウの運転を身体で知っている人です。
だからコータロウが本気になったとき、見ているものが少し違う。
ハンナさんは、人柄を見る。
オニさんは、走りを知っている。
その2方向から期待が集まっていく流れがうまいんですよね。
仲間のために怒れる人が、勝負では一番を欲しがる
救急隊の仲間を侮辱されて、コータロウに火がつく。
ここだけでも普通に格好いい。
仲間のために本気になれる人なんだ、とハンナさんも理解していく。
そこからさらに出てくるのが、コータロウ本人の気持ちです。
「俺が一番上手い、速いって証明したかった」
これなんだよ。
仲間思いなのも本当。人を助ける救急隊員なのも本当。
そのうえで、自分が一番だと証明したい。
私はここで一気に好きになりました。
普段はちゃんと周りを見ている人が、勝負に入ったら「俺が一番速い」となる。
競技者はこうでなきゃ、と思ってしまう。
9話から11話の運びが気持ちいい
先に、仲間のために怒る姿を見せる。
周囲がその姿を見て、コータロウという人間を理解する。
そのあとで、本人の中にある「一番になりたい」が出てくる。
前に見せた人物像をひっくり返すわけではないんですよね。
どっちもコータロウ。
だから急に人物が立体的になる。
この3話、漫画としてかなり好きです。
曽田正人作品の天才って、見ていて気持ちいい。
『アイアンレッキ』でも、コータロウがもっと速い相手とぶつかって、自分もさらに速くなって、一番を取りにいくところを見たい。
人を助けるコータロウもいい。
勝負で一番を欲しがるコータロウもいい。
その両方が同じ人の中にあるのが熱いです。