『2.5次元の誘惑』|アリアとミカリ、それぞれの好きになり方がいい
『2.5次元の誘惑』を最後まで読んで、強く残ったのはアリアとミカリでした。
二人とも奥村を好きになる。
でも、好きになり方も、積み重ねてきた時間も全然違う。
私はアリアが一番好きです。
それでも、物語全体を読み終えたときには別の納得も残った。
その両方が同居したのが、この作品のおもしろいところでした。
※ここから原作最終盤までのネタバレを含みます。
ミカリの10年間は、やっぱり重い
ミカリは奥村の幼馴染で、10年間ずっと奥村を好きだった。
しかも、胸の中だけで思い続けた10年ではない。
早い段階からずっとアピールしている。
奥村がなかなか気づかなくても、諦めない。
この10年間は、やっぱり重いです。
一方で、リリサと奥村にも強い積み重ねがある。
好きなものを共有して、一緒にコスプレ活動をして、二人にしか分からない時間をたくさん過ごしてきた。
だからリリサに気持ちが向いても、私は普通に納得できたと思う。
そのうえでリリサは、自分の恋とミカリとの友情を両方見て答えを出す。
最後にミカリの長い時間が報われたときは、素直によかったねと思いました。
それでも、推しはアリア
私の推しは最後までアリアです。
まず見た目が好き。
高身長でスタイルがよくて、明るいギャル。画面にいると華がある。
でも本当に好きになったのは、父親のエピソードからでした。
アリアがコスプレを始めた理由には、離れてしまった父親との関係がある。
そこに漫研のみんなが関わって、奥村も本気で動く。
その結果、アリアは父親ともう一度向き合えるようになる。
自分の人生の大きな出来事を、一緒に背負ってくれた先輩。
そりゃ好きになるよね、と思う。
アリアの気持ちが、ちゃんと最後まで残った
恋愛の立ち位置だけ見れば、アリアには強い相手が二人いる。
ミカリには10年がある。
リリサには、物語の中心で積み重ねてきた時間がある。
それでもアリアは奥村を好きになるし、最後には自分の言葉で気持ちを伝える。
卒業式の場面はかなり好きでした。
結果を取りにいくためというより、好きだったことをちゃんと伝えて、自分で区切りをつける。
あそこは少し泣きました。
誰か一人が選ばれても、ほかの人が抱えてきた気持ちまで軽くなるわけじゃない。
ミカリの10年間も本物。
リリサの気持ちも本物。
アリアの恋も本物。
だから私は、アリアが一番好きなまま、ミカリには「本当によかったね」と思えたんだと思います。